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珈琲にまつわる面白い話 〜その3〜

 前毎度古い話で恐縮だが、現在でも通用する事柄なので書きとめておきたい。
 JR有楽町の駅前にスバル街という飲食店の集合街があった頃、メッカと言う珈琲ではかなり有名な店がその中にあった。
 当時の肝いりの有志から、日曜日の休みを利用してスバル街の真ん中ほどにある広い店で私に珈琲の話をしてほしいと依頼があった。折角の申し入れだったので、私も知っている限りの薀蓄をかたむけて3時間ほど話をした。参加者は20名足らずで1993年 LOS ANGELES TIMES に掲載されましたあったが、熱心な方々であった。
 その後、こんないい話はここだけでお終いにしてはもったいないと、新宿地区の有志の方が「自分の方でもやってもらえないか?新宿区役所の小講堂を借りてもいい。」と言ってくれ、その準備を始めてくれた。
 ところが、ここからが問題で当時業界の有力な顔役の一人からクレームが出た。

 「関口さんの話は真にいい話で正論であるが、正論と商売は両立しない。お客が盲目のうちにできるだけ稼いでおくもので、店が赤字になっても誰も面倒は見てくれないものだ。」と言う。

 この人は新富町で昔から有名な某料亭の人であり、銀座でWという喫茶店のマスターをしていた。

 彼の持論は”消費者と言うものは無知で限りなく貪欲である。この習性をうまく取り込み、利用しない手はない。これが商売のコツと言うものだ。良いものだと思わせる字句演出宣伝を巧みに利用し、相手を納得させれば騙したことにはならない。お客にあまり知恵をつけられては商売がやりにくい。”というものだ。

 こんな申し入れがあったので、折角の新宿での催しは中止となってしまった。