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珈琲にまつわる面白い話 〜その2〜

 前回の話には後日談がある。
 私の店に来ている常連の方がある日、前記の”S店”に行ったときそこの主人がお客様に「うちのコーヒーは砂糖を入れなくても美味しく飲めますから、どうぞ試してみてください」と盛んに勧めていたと話してくれた。私の話を聞き捨てずに後日研究して納得したということか。

 ノーシュガーの件では別の話もある。大阪の喫茶組合の会誌に業界の座談記事が載っていた。
  質問者:  秋山会長(MJB)は、よく銀座のランブルに行かれるそうですね。この店では砂糖を入れさせたがらないということですが本当ですか?
  秋山会長:私が行っているとき、カウンターのお客の殆どは砂糖を入れているのを見たことがない
  質問者:  ようするにこの店はケチなのとちゃいまっか?
「珈琲だけの店」と書いてある看板
 私の店ランブルの看板には「珈琲だけの店」という表示が大きく書いてある。
 あるとき、入ってきたお客が一言「コーヒー」と注文をした。
 店の者がメニューを差し出すと「コーヒーだけしか無いのだろう。メニューの必要は無いのではないか」と言う。
 コーヒーには決まったスタイルがあり、どこの喫茶店でもコーヒーのスタイルは決まっているからこのような誤解が生じることがある。コーヒーには産地別各種あり、飲むスタイルにも多様なバラエティがあることを未だ知らない方が多いことは残念である。

 だいぶ前のことで恐縮だが、日本橋横山町の問屋街に評判の良いコーヒー店があると聞いたので、早速その店に行ってみた。店のメニューを見たら当時では珍しい中米産のコーヒーの名前があったので、これを注文したが出てきたコーヒーの大変な臭いに驚いた。
 「このコーヒーはだいぶ古いね」と言うと、そこのマスター曰く「ずいぶん長く寝かしておいた貴重品ですよ」と自慢げに言う。
 煎ってから時間の経ったコーヒーをオールドコーヒーになったと錯覚していたようだった。

コーヒーベルトをデザインしたマッチラベル

 アメリカ製(浅煎り)のコーヒーを使っていた喫茶店での出来事である。この店はアメリカ製の大型のバキュームサイフォンが自慢で大変繁盛していた。
あるときお客に「このコーヒーは酸っぱいね」と言われ、店の人は「うちのコーヒーはモカを多く使っていますので、酸味があります」と返事をしていた。
 モカは酸味に特徴ありと言い習われているので、店の人も浅煎りの酸味を錯覚してモカが多いと思っていたようだ。

 浅煎りで思い出したことがある。

 お客様にコーヒーのつまみのつもりでサービスにピーナッツを出していたことがある。生の落花生をコーヒーの焙煎が済んだあとの焙煎機の余熱を利用して浅煎りしたピーナッツだった。市販のピーナッツは日持ちを考慮してか、深く煎りすぎて美味しくないが、ちょっと浅目に煎ると甘みがあり、美味しい。だいいち、後で口臭が臭くならない。ところが「この店のピーナッツは湿気ている。管理を疎かにしている」と思われ、せっかくの美味しいピーナッツは中止してしまった苦い思い出話がある。しかし、一部の識者からは褒められ、週刊誌にも掲載された。