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再びオールドコーヒー

 最近、取材によくみえている小林充氏から「関口さんのオールドコーヒーに関する知識のヒントを得た書籍についてユーカーズ氏の「オールアバウトコーヒー」か、ケニイ氏の「COFFEE」のからなのかはっきりとした確証が知りたい」との問い合わせがあった。知りたいと言われても、なにぶん古いことで50年も昔のことである。しかし、幸いUCCから出版された「オールアバウトコーヒー」を全訳した書籍が手元にあったので早速調べてみた。
 短時間だったので全頁を調べることは無理で「オールドコーヒー」に関する記事は見当たらなかったが、面白い記事に出会った。
 元来、ユーカーズ氏はコーヒー専門技術の研究者ではなく、「ティ・アンド・コーヒートレードジャーナル」誌の編集長であった。その彼がコーヒーの研究者やその他の業界関係者の記事を取りまとめて大著「オールアバウトコーヒー」を発行したのだからその功績は大なるものである。この本の多くの記事には発表者の肩書きと名前を冒頭に書いてある。これについて私が勘ぐるに「この記事は著者の意見で、本の発行者の責任ではない」との逃げ口上ではないのだろうか?考えるに書籍には必ずと言っていいほど末尾に参考文献が表記されているが、これは著作権問題のためばかりではなく、自説ではないとの逃げ口上のような気がする。

 さて、面白い記事というのは同書第5部710頁に全米珈琲焙煎協会のアーボン氏が”珈琲のたて方向上委員会”発行の小冊子「珈琲の粉砕と抽出」からの記事としてネルドリップは起毛側を内側にすると書いてあった。私は昔、抽出方法に関して種々実験を重ねてきた。その結論として起毛側は外側とすることを主張し、今日までこれを守り確証を得ている。
 また、他に珈琲のグラインドはなるべく細かく(グラニュー糖位)挽いたほうがよいと言うような記事があった。抽出方法によってグラインドの細かさは変わってもいいが、微粉が出てはまずい。当時から現在まで発売されているコーヒーミルは構造上、細かく挽くと微粉の割合が多くなり都合が悪いのである。そこでランブルではリードミルを井上製作所の協力を得て開発した次第である。
 このように権威ある著書にあった記事といえども、そのまま鵜呑みにせず参考にはするが納得できるまで実験を重ねてみる必要があるのではないだろうか。

 話を初頭に戻すと、オールドコーヒーの件は戦前からコーヒー関係の識者の間では話として話題になっていたように思うが、私の勘違いだろうか?外国の本で読んだような気がする。
 拙著「銀座で珈琲50年」を見てもらいたい。
   第 9話 群馬のコーヒー事件
   第10話 住田物産株式会社 半田社長
   第11話 富士珈琲機械 初代社長寺本豊彦氏
実地に目の当たりにした経験からエージングルームの開発を決心し、現在もエージングルームは効力を発揮して活躍中である。オールドコーヒーは実際に努力して、年月を重ねた者にしか解らないのである。